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第1章 値段は夜、決まる

ロンドン市場

 日本の標準時間に比べて、イギリスは9時間、アメリカは14時間の時差がある。日付が変わって一日が始まると、この中では日本がいちばん先に朝を迎え、東京市場がオープンする。夕方になり東京市場が終了すると、ヨーロッパの人々が朝を迎える。ヨーロッパの人たちが働く時間は、我々日本人の夕方から寝床に入るまでの時間帯にあたる。この時間帯をヨーロッパの金融・経済の中心地であるロンドンの名前を取って「ロンドン市場」と呼ぶ。同じく、金融の中心地である東部のアメリカ人が中心になる時間を「ニューヨーク市場」と呼ぶ。

 「ロンドン時間」というのは日本とアメリカという巨大市場のちょうど中間に位置していて、とても重要な役割を果たしていることが想像できるだろう。また、ロンドン時間の午後はニューヨーク時間の午前と重なっていて、アメリカ国内の重要な発表が午前中になされることが多いことを考えれば、世界を見るのに、いかにロンドン時間が大切かがわかってもらえると思う。

 極端な言いかたをすると、東京時間というのは地球規模で眺めたら、世界の、端っこの時間帯にすぎないということだ。また、ニューヨーク時間の午後も同じ意味で端っこであると言える。実際にマーケットがいちばん活発に動くのは、このロンドン時間なのだ。取引される量もたいへん多くて、世界で起こる金融マーケットに影響をあたえるような出来事のほとんどは、この時間帯に集中しているといっても過言ではない。ロンドン時間を見ていれば、世界を語れるということでもある。

 さらに良いことに、日本に住む人にとっては、自宅に帰った後、落ち着いて過ごす夜の時間。この時間帯がマーケットとして、いちばん面白いということになる。それ以外の時間帯での取引は、概して敗戦処理でしかないことが多い。ほとんどの値動きがロンドン時間で決定され、東京時間などでは動かないか、むしろ反対方向に動いたりすることがある。