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第5章 ニュースで見るアプローチ

インフレ動向

ここ数年、中国経済の拡大によって、原材料費の高騰が顕著になってきており、社会問題にすらなりつつある。日本のような資源のない国では、原材料費の上昇は即座に経済活動にダメージを与えることになる。

世の中がどの程度の物価上昇をしているのかを見るのに物価指数というものがある。生産者・卸売業者の段階での物価動向を見る「生産者物価指数」(=PPI)と、末端価格での物価動向を見る「消費者物価指数」(=CPI)がある。ものの性質上、PPIの動きはCPIのそれよりも3ヶ月くらい先行するとされている。こうした物価指数が安定性を失いはじめると、モノを作ってお金を得る生産者も、お金を払ってサービスを受ける消費者も、生活していくうえで困ることになる。そこで中央銀行は何らかのアクションを起こすことを求められることになり、政策金利の行方に重大な影響を与えることになるのである。

PPIやCPIの増加はインフレ圧力の増大を意味し、近い将来、金利は上昇する方向に動く。金利上昇は企業の生産コストを高めるため、株式にとっては悪い材料となる。物価指数の顕著な上昇が見られる場合は、日経先物は売りである。とくに事前予想よりもかなり高い物価指数が出たときは、どんなに安くても日経先物を売り込んでいかないといけない。

日本はここ数年、ずっとデフレ下であるといわれ続けてきた。CPIはずっとマイナス圏で推移してきたし、金融当局である日本銀行が「現在の金融緩和政策を変更するには、CPIが安定的にプラスゾーンで推移しないといけない」と言っている。しかし異常なまでに長年続いている超低金利という日本の状況に変化をもたらす可能性があるので、株式市場に手を出す以上は、金利に関わりのあるこうした物価指数を無視してかかることは出来ないのである。

インフレに直接関係するのは何といっても「商品価格」そのものであり、原油や金の相場動向によって株式市場は影響を直接に受ける。その度合いは生産国でもあり大消費国でもあるアメリカの株式市場においていちばん顕著ではあるが、毎週水曜日に米国が発表する石油在庫報告は当面の原油価格を左右することが多いので、インフレ動向を見定めるには参考になる。