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第8章 マーケットに臨む姿勢

投資と投機

ファンドマネージャーが狙いにいく1000円や2000円幅の行為を「投資」といい、デイトレーダーが日々狙っている50円や100円幅での取引を「投機」であると区別されやすい。どうやらロングかショートか定まらず、常にポジションの方向もコロコロと変わっているものを「投機」であるとし、ひたすら我慢に我慢を重ねて同じポジションを持ち続けて結果を残すことを「投資」であると言いたいらしい。

たしかに「投機」ではポジションがなくなったり、場合によっては反対方向を攻めているので、いったい何をポリシーとしてやっているのか、外から漫然と見ているだけではわからない。反面、「投資」と呼ばれるものは、事前にシナリオをたてて仕込んでいるので投資家の理解も得やすいし、何をやっているのかわかりやすい。

しかし、両者とも「お金を儲ける」という意味では、本質的に同等のものであり、違いがあるとすれば、ポジションを持ち続けることのできる期間と、損失の限度額だけである。それでも「投機」が悪者視されるのは、朝までやっていたことと反対のことを午後はやっているかもしれないという、節操のなさと受け止められかねないことが原因なのかもしれない。

1回ごとの「投機」は確かに確率50%かもしれない。根拠のないものに見えるので、バクチと言われても仕方がない面がある。しかし、1回の投機だけで大当たりのホームランを狙っているわけではない。10回の投機をやれば、平均してお金が増えているという打率重視の方法なのだ。だから何度も勝負を挑む。負ける数のほうが多いのが当然だ。

イチローといえども4割を打てないのだ。必ず儲かる、必ず勝つということはありえない。負けは少なく、勝ったときには大きく増やせるように仕組む。1回ごとの投機では不可解かもしれないが、「投機」の無限の繰り返しが最終的に「投資」という形になるはずである。「投機」なくして「投資」はありえないと考える。ここでいう狭義の投機による運用手法をアクティブ運用というが、パッシブ運用以上に安定性を誇っているのは皮肉なものである。

日経先物ではアクティブ運用を心がけ、相場とのにらめっこを基本姿勢としよう。